飯倉豊啓写真集 静寂閑雅

iikura-L

著者 飯倉豊啓

発行日 2020年4月25日

発行所 遊人工房

編集構成 飯塚明夫

定価 2,000円+税

風景の深層への旅
写真家 飯塚明夫

写真集と写真展の構成のために、飯倉さんが8年に亘り撮影をつづけてきた裏磐梯の写真を繰り返し見ているとき、ふっと「風景の表層から深層への旅」という言葉が脳裏に浮かんだ。
飯倉さんの風景写真は北八ヶ岳から始まった。8年間撮りためた写真は「四季逍遥」(写真展・カラー)として花開いた。次に裏磐梯と向き合い「山光水色」(写真展・カラー)を開催している。そして今回の『静寂閑雅』(写真展・写真展・モノクローム)
カラーで表現した北八ヶ岳と裏磐梯の写真は、山の四季が綾なす色彩の世界と自然の息づかいを繊細な感性で捉えた魅力的な写真である。
しかし私は今回の『静寂閑雅』の「モノクロームの世界」に、より深い豊かな魅力を感じる。なぜだろうか。それは飯倉さんの写真表現が、日本の芸術家たちが古の昔より追求してきた「幽玄の世界」に、踏み込んでいるからだ。
「インスタ映え」や「絶景写真」等の、視覚的刺激の強い表層的写真がもて囃されている今、『静寂閑雅』は風景写真の原点回帰を促している。
この写真集は、風景を撮り始めてから今日まで16年間、飯倉さんが風景の深層をへと向かう旅を続けてきた証である。

buyit