上薗圭子写真集 鎌倉 花鎮め

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著者 上薗圭子

発行日 2020年4月8日

発行所 遊人工房

構成編集 飯塚明夫

デザイン飯嶋規之

定価 1800円+税

『鎌倉 花鎮め』に寄せて 
 写真家 飯塚明夫

上薗圭子さんが2冊目の写真集『鎌倉 花鎮め』を上梓された。
一冊目は『YOKOHAMA アフタヌーン』。港町横浜を、オトナの目線で捉えたしゃれたセンス溢れる写真集である。
今回の『鎌倉 花鎮め』は、横浜と同じ人気観光地の鎌倉が撮影地であるが、写真のテイストは大きく異なり、「鎌倉の歴史的風土が創り出した風景を深い感性で捉えた」写真集である。

その違いはどこから来たのか。私は鎌倉での「ある体験」が上薗さんの心中に眠っていた「巫女的要素」を覚醒させたと思っている。
上薗さんは2011年3月11日東北大震災がおきたとき鎌倉にいた。「山が動いた」と思った次の瞬間「桜の木」につかまり揺れに耐えたという。
その日以来「鎌倉は特別な場所になった」と告白している。
「桜の木の下には死体がうまっている」と梶井基次郎の言葉であるが、上薗さんはこの時、「桜の木の下で眠る鎌倉時代の霊たち」と幹を介して「交感」したのだ。
以来8年以上にわたり霊場鎌倉に通い、歴史的な知見も増やしながら、鎌倉時代への追慕の念のこもった写真集に結実させた。

この20数年の間に、阪神淡路大震災から東北大震災、熊本地震などが日本人の安寧を脅かし、頻発する豪雨災害や大型台風の襲来が多くの人々の命を奪っている。
このような状況は、「天変地異が続いた鎌倉時代と重なる」と上薗さんはいう。

『鎌倉花鎮め」は自然災害多時代に生きる現代の日本の人々へ、鎮魂の願いを込めた上薗さんからのフォトメッセージでもあるのだ。

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